優秀なマネージャーとなる人はできないメンバーを作らない

柴田励司

あいつは〇〇だからダメだなと言う言動をマネージャーがしてしまうと決定的。そういう認知が広がることで、マネージャーが思っている以上に、本当にその人をダメにしてしまうのです。

もし、そのメンバーを仕事ができないから外すとするなら、その代わりにそのメンバーが良いパフォーマンスを発揮できる役割を探すこととセットでやりましょう。

そもそもダメ出しされた本人に自分ができないと言う自覚がないと、何がダメなのか、どうしたらいいのかわからず戸惑います。

しかしそのまま何もやらないわけにはいかないので何かするわけですが、その何かは既に組織のパフォーマンスにつながることから外されているので、達成感はありません。評価も当然のように低い。そうなると、自分はそんなものだと言う自己認識が固まり、本当にできないメンバーを生み出すことになってしまうのです。

では、マネージャーはメンバーのみんなの前で何をすればいいのかと言うと、メンバー個々が自分が活躍できていると実感できるような状況を作ることです。

優れたマネージャーは、メンバーがみんなのいるところで自分の意見を言えるような空気を作ったり、みんなの前で褒めたりして、あの人はできる人と言う周囲の認知や自己認識ができるようにするのを心得ているのです。

パフォーマンスが悪い人をローパフォーマーと呼ぶことがありますが、ナンセンスです。状況によって誰もがハイパフォーマーにもローパフォーマーにもなります。大事な事は、個々の人だけを見てハイやローと色分けするのではなく、その人を取り巻く環境を見ること。その環境を作り出すのはマネージャーです。

その人を取り巻く環境を分析し改善することもせずに、個々のダメ出しばかりするのは、天に向かって唾を吐くようなものなのです。

(柴田励司)

柴田励司
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