真摯さを絶対視して初めてまともな組織と言える。
それはまず、人事に関わる決定において象徴的に現れる。
真摯さはとってつけるわけにはいかない。常に身に付けていなければいけない。
ごまかしがきかない。共に働く者、特に部下に対しては真摯であるかどうかは2、3週間でわかる。
無知や無能、態度の悪さや頼りなさには寛大たりうる。
だが真摯さの欠如は許さない。決して許さない。彼らはそのような者をマネージャーに選ぶことを許さない。
真摯さの定義は難しいが、マネージャーとして失格とすべき真摯さの欠如を定義することは難しくない。
1 強みよりも弱みに目を向けるものをマネージャーに任命してはならない。できないことに気づいても、できることに目のいかないものは、やがて組織の精神を低下させる。
2 何が正しいかよりも誰が正しいかに関心を持つ者をマネージャーに任命してはならない。仕事よりも人を重視することは一種の堕落であり、やがては組織全体を堕落させる。
3 真摯さよりも頭の良さを重視する者をマネージャーに任命してはならない。そのようなものは人として未熟であって、しかもその未熟さは通常治らない。
4 部下に脅威を感じるものを昇進させてはならない。そのようなものは人間として弱い。
5 自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネージャーに任命してはならない。そのようなものをマネージャーに任命する事はやがてマネジメントと仕事に対する侮りを生む。
知識もさしてなく仕事ぶりもお粗末であって、判断力や行動力が欠如していてもマネージャーとして無害なことがある。しかし、如何に知識があり聡明であって、上手に仕事をこなしても、真摯さに欠けていては組織を破壊する。組織にとって最も重要な資源である人間を破壊する。組織の精神を損ない、業績を低下させる。
(ドラッカー)